大橋天嘉個展「からっぽのそら」
ギャラリー名:沖縄県立芸術大学 附属図書・芸術資料館2F
期間 :2012年5月30日〜6月3日
住所: 那覇市首里当蔵町1-4
website: http://www.lib.okigei.ac.jp/lib.html
琉球新報 美術月評 6月より
大橋天嘉個展「からっぽのそら」
この展示会を見たのは偶然であった。隣の展示室で行われていた「おもちゃ展」を見に行ったのだが、明確なコンセプトがあるにも関わらず、まったく伝わってこない。それぞれの作品のクオリティーの低さにも正直がっかりした。全く期待せず隣の展示室に入ると、鉄のオブジェや写真やアクセサリー、洋服等様々な作品に埋め尽くされていた。会場全体が楽しさで生き生きしており、クオリティーの高さを感じる空間であった。
大橋天嘉は、現在沖縄県立芸術大学の陶芸を学ぶ大学院生だが、ある授業で内面を揺さぶられる体験をした事がきっかけでこの展示会のタイトルを思いついたと言う。
学生時であればだれでも何を創っていいかわからなくなる時期があると思う。そんな時にとにかく思いつく事全部やろう、と思ってどんどん創る。それが作品なのかどうか、良いのか悪いのかも関係なく、とにかく今思う事全部吐き出そう、という気持ちが現れているように見え、すがすがしくも感じた。この事は創作において一番大切な事で、原点だと思う。
ただ、この後作家として生きていくのであれば、ここから自分自身を見つめていかなければならないだろう。現時点での自分の作品はこれだ、と言い切れなければ見る側を納得、感動させられない。見る側の琴線に触れる様な、心をふるわす1点を創る事。その為には、もっと深く掘り下げていく事が必要だと思う。創る事が好きだ、は大前提だが、好きなだけでは作家にはなれない、良い作品にはならない。だからここからが重要な時期のように感じた。今後の彼女の展開に期待したい。
黄金忠博