ギャラリー・ラファイエット賞受賞
仲間桂太 インタビュー
聞き手:黄金忠博
━━━受賞おめでとうございます。まずは、率直な感想を聞かせてください。
- 仲間・まずは賞をいただいたということで、ありがとうございます!
- 36人もの作者が出し、50を超える作品の中、自分の作品が賞をいただいたという事で、嬉しいしちょっとビックリしているところはありますね。自分も「これいいかも」という作品も今年は何点か見つけることができたし、また展示会自体もすごく見やすい、作品がよく見える会場作りができたのかなと思ったので、その中で自分の作品が上手く映えたというか、いい結果になったんじゃないかなって思っています。
━━━そうね。去年より会場を見たときに、全体が綺麗に見えていたし、すごく良い展示になったなと思って、すごく良かったと思いますよ(笑)
- 仲間・やっぱり、作品展示するということは本当の自分達の仕事場っていうところが一番強く思うところがあるから、今回は賞をいただいたということもあるけど、それ以上に自分の作品がよく見える環境が整えられたということも併せて嬉しいです。
━━━来年はラファイエットで個展やるんだよね?(笑)
- 仲間・やりたいですね(笑)。秋友さんとまだきちんとお話しをしてないけど、今週の土日でギャラリーの方に足を運んでお話できればと思っています。
━━━できたらね、来年の学生美術展とあわせて同時期にやるとかね。宮津さんも言っていたけど、その日にやれたら面白いよね。
- 仲間・やっぱりあわせてやると流れとかもできるし、ここで「できるかも!」っていう、モチベーションも上がるかもしれませんね!
- 自分は来年出したら、ダメ?(笑)
━━━ダメなんじゃない(笑)
- 仲間・もう、出て行けと?(笑)
━━━そうそう!一抜けで。そういうのもいいんじゃないですか。
━━━来年はどうなるかわからないけど。この展示会の事の発端は桂太じゃない?桂太が言い出して何とか開催できてよかったと思ったけど、今年もできて、動員も結構入っていい形で二回目を終えられたけど、今後、桂太の中にどういう風にしていきたいとか何かビジョンは何かありますか?
- 仲間・やっぱり一番は続けていって流れを作るということがこの展示会の意義みたいなもんだと思うんですけど…そうですね。いろんな方のご意見があるんですけど、自分としてはやっぱり、作品が集まるという事が一番大事だと思うので、それで知らない人と交流できるということもあるし、また話をしなくっても作品で勝手に交流していると思うし、出展者が一人の観客に伝える事を前提にして展示会を続けていってほしいなと思います。もちろん、一般の方々にも見せるっていう事もすごく大切だし、それと一緒に自分達が活動しているっていうのが見合える場にできればいいんじゃないでしょうか。
━━━やっぱり学生だからまだ、桂太はそういう意識で持っていってるけど他の出品者も意識的にはどうなんだろうね。みんな何かその辺の温度差はまだあるような気はしないわけでもないけどね。作品をただこういう展示会があるから出せるから出すみたいなぐらいの気持ちしかない人もいると思うんだけどね。温度差は感じない?同じような意識に感じる?
- 仲間・やっぱり、作品についてはみんな一生懸命やっていると思うし、それは否定できないと思うし、人の気持ちの問題だからわかんないし…。でも、一つ意識が少し違うなって思ったところは、展示会についての認識みたいなのがやっぱり展示して交流するっていったように自分の作品を制作する以上にって言ったら変だけど、それぐらい非常に大切というのが展示して見せるという行為で、作るだけだったら作品は成立しないじゃないですか。やっぱり、人に楽しませたり考えさせたり、そういったものが仕事の使命だと思うから、勝手に作って誰かが持っていて展示してくれたら、それはそれでいいかもしれないけど、損している部分も大きいと思う。見せるという事に対してもっと積極的なアプローチしていくところがあってもいいんじゃないかなって思うかな。
- たとえば、今回の展示って去年より増えているんですよね?メンバーは。それで作品の説明をしたり、プレゼンしたりとか交流をもつっていう、わかってもらったりだとか、ただ置くだけじゃなくって…そういう意味では去年よりよくなってきているかなと思うし、もっともっとそういうのが増えっていってもいいんじゃないかなって。時間が厳しい人もいるけど、できるだけ会場には足を運んで作品を観てほしいですけどね。
━━━まあ、こういうのはたとえば、大学2~3年生だと、あまり展示会をしたことがなかったりだとか、経験不足なことがあって何をしていいかわからないとか、すごくあっただろうし、それってたとえば桂太は東京藝大だけど、藝大ではそういう展示に対しての授業とかレクチャーってあるの?
- 仲間・そうですね。毎回講評は展示会形式なんですよ。それで、散々言われてきたということもあるし、やっぱりよく言われることは展示会自体がひとつの作品として作らないといけないということは意識させられて、やっぱり隣にくる作品とか目線の高さとか、場所とかで全然意味合いが変わってくるんですよね。たとえば、判りやすく言うと便器の作品あるじゃないですか。便器の作品をただ公衆の便所にあっても何も意味を為さないと思うし、美術館に来たからってあれは多くの批判もあったし、絶賛もされたし、今ではすごい分岐点みたいな形で語られることも多いですけど、それくらい違うと思うんですよね。だから、やっぱり日常で作品を作るって、その作品ごとに展示をするってことは藝大のいいシステムだったんじゃないかなって、もう終わっちゃうんだけどね(笑)
━━━早いね(笑)もう卒業だもんね!
- 仲間・やっぱり作ってタンスにしまうってカンジじゃないですか(笑)
━━━発表してなんぼだけどね。桂太はこの先どう考えているの?
- 仲間・どうしましょう(笑)卒業したら…。
━━━大学院に進んで…大学院は2年でしょう?そのあと博士とか行くわけ?
- 仲間・博士までいるのか…いや…それはどうなんだろう?(笑)
━━━まあ、どの道博士に行くか行かまいが社会に出ることになるんだけど…。
- 仲間・アーティストとして出ていきたい思いが強いですね。少しずつ英語を勉強したりとか…やっぱり英語って大切ですよね(笑)
━━━(笑)
- 仲間・台湾行っても英語で話せるし…。語学に対する認識がすごく甘かったです。台湾に行って英語でしゃべるんですよ!作品展示の仕方とか…。
━━━英語で説明するわけね。
- 仲間・隣の人が当たり前だけど、中国の公用語か英語ってカンジで…英語でスクリーンに対して、ライト明るい?大丈夫?とか指を指しながら言ったりして、もうちょっと絞ろうか?とかボディランゲージとつたない英語で…。
━━━この美術展の話に戻るけどファインアートだけじゃなく、工芸もあって、やはり多少意識が違うと思うけど、どの道みんな社会に放り投げられる身だよね。その先のことみんな不安に思いつつ、何とかしようっていう事でこの展示をやっているのだけど、次回はどういう風にしたらいいとかアイディアありますか?
- 仲間・自分が今回隣に染織の人がほしいって言ったり、交渉して来てもらったりとか、それはすごく良かったなって。やっぱり絵画が普通に来るより、自分のテーマが沖縄のものをやっていたということもあって、また、とても綺麗だし映えるし…。ただ、絵が並ぶとか、そういったものより新鮮に作品が観えるような感じがして、それはいいなって思ったんですよ。たとえば、絵画だけの作品が簡単に並んでしまうと、ちょっと飽きるところがあって、またある種の固定された見方みたいなところがどうしても出来上がってしまうようなところがあるから、本当にその作品が観えているのかというところで、ちょっと疑問に思うところがあって、そういう意味で観客を揺さぶる楽しみっていうのがあるんじゃないかなって思うんですよ。だから、会場作りのときに交渉してほしいですよね。一緒にやろうよ!とか。
━━━搬入の作業見てないから知らなかったけど、そういうやりとりがあったんだね。グループ展のメリット・デメリット両方あるけど、いいところはそういうところだよね。飽きさせないように展示ができる。お互いの関係性でものが見える。すごく良いと思うんだけど、それの折り合いをつけるのは難しいよね。逆に自分のが殺される場合もあるしね(笑)
- 仲間・それは、おまえこっちくるなと!(笑)
━━━って言いたいけど、この人はここがいいって言ったりするわけじゃない?(笑)まあ、そういう難しさもあるよね。まあ、だから今度ラファイエットで個展するわけじゃない?個展っていうのもまた全然違うわけじゃん。自分の作品で全部空間を作るわけだから。それもまた、面白いよね!
- 仲間・そうですね。
━━━個展ってやったことあるの?
- 仲間・ないです!
━━━ないんだ!初個展なんだ!すごいね!
- 仲間・逆に自分の仕事の中でそういうのをやんなきゃいけないんですよね…。
━━━そうだよね。それじゃあ、楽しみだね。だってそれが企画でできるわけだよ!企画でやらせてもらえるわけだよ!
- 仲間・ありがたいですね(笑)
━━━ありがたいよね。まあ、来年が楽しみですね(笑)
- 仲間・期待されている(笑)
━━━秋友さんとも、どんどんやりとりしてもらって、どんどん作品を詰めていって、いい展示会が来年できたらいいですね。そこからやっぱり、次に繋がるだろうし…。それは何か楽しみだね。
これは俺の勝手な案だけど、来年は画廊沖縄さんにも参加してもらって、他にもいろいろ画廊があるじゃない?アトスとかプルミエ、コトノハとかそういう人達に声をかけて、それぞれ賞を設けて、一斉にそんだけの人達が個展を開催されるとなったら、また広がりが違うと思うんだけどね。それもありかなって思うんだけどね。
- 仲間・また一緒にやると周りやすくもなりますよね。今やっているからちょっとこっち行ってあっち行って、お互いに足を運びそうですね。それができると…。
━━━今後はまた広げていけたらいいなって思っているんだけど…。まあ、来年桂太は参加するかどうかはわからないけど(笑)、一応、卒業5年以内って決まっているから一応出せるんだよね(笑)
- 仲間・出せはしますね(笑)来年は何をしていることやら…。院試で落ちていたりして(笑)
━━━(笑)まあ、とりあえずこれからは来年のことに向けて秋友さんと話を詰めて、いい作品を作っていけるように頑張ってください。
- 仲間・頑張ります。
━━━最初に、桂太がこういう展示会をやろうって企画を出してきたじゃん?そのときのイメージと去年、今年やった展示会のイメージってどうなの?若干違うと思うんだけど、実際頭の中で企画を起てたときに、どういう風になればいいなと思ったことと、今現実に展示会やっているわけじゃん。そのギャップってある?
- 仲間・正直、想像していたのとは去年の方が近いんですよ(笑)ごちゃごちゃしていて。今年は意外とまとまるんだなってある程度実感できた…。ただ、一番の目標である交流するってことに対しては、もう少しずつ深まっていければいいんじゃないかなと…。
━━━その辺のイメージは最初の企画を起てたときと現実とはそういうギャップがある?
- 仲間・イベントとしてやっぱり時間もあると思うけど、作品のプレゼンをし合うようなものがあってもいいのかなって…。自分が今回賞を認められたのって、たまたま自分が会場にいたときにプレゼンしているのを聞いてくださったっていうのも大きいと思うし、やっぱり理解すると見方も変わるようなところもあるから、楽しいと思うし…。
━━━じゃあ、一人一人が自分の作品についてプレゼンする時間を設けて、36人分やるんだ(笑)
- 仲間・何か、講評会みたいでダメですよね(笑)
━━━いや、わかんないけどね。実は、来客者にアンケートとっていて。まだ全部は見きれていないけど、意外に作品のコンセプトとか書いてないじゃん。その人の意見や言葉みたいのがなくって…。あと、素材のところでさ。たとえば、浦田健二君の作品とかさ。何とかプリントって書いてあって、これがいったい何なのか一般の人が見てもわからないわけじゃん。そういう専門的な言葉が出てきて、それを知りたくなるけど、書かれてないから知れないし、あとこの作品がどういう意味合いで作られたとか、言葉がないから、わからないっていう意見も多かった。そういうところも今後、どうしていくかとか、考える必要があるんじゃないかと思うんだけど…。
- 仲間・一人一人がやるのを時間とってダメだとしたら、全体の意見を言い合うような場としてだったらやれるかもしれないし、飲み会ができるぐらいだから結構集まりができる。それだったら全体の意見を出し合う場を作ってしまうとか…。折角、集まっているからね。
━━━一応、出品者の人にはまた意見書書いてもらってるけど。それでそれぞれの意見も知ることもできるかも知れないけどね。その場で声が聞けたら良かったよね。
- 仲間・つっこんで返答が返ってきて、より簡単だと思うし、より深く聞けると思うし…。
━━━来年もうちょっと考えた方がいいね。すぐ飲み会に行ちゃうからダメなんだろうね(笑)。まあ、そろそろ締めますか(笑)じゃあ、締めの言葉を何かありますか?
- 仲間・今回、出品者が36人と去年より6人多い、参加してくれている方がいてこの企画に賛同してくれたということで嬉しく思うし、また来場者数も今年かなり増えていて、去年は498人で今年は1000人も超えて、そんなに多くの方が観に来てくれて、去年の倍になったから今度は2000人ですね(笑)じゃあ、来年は2000人を目標に開催しましょう!
━━━わかりました(笑)来年は2000人に来てもらうように頑張ります!
- 仲間・よろしくお願いします!(笑)
━━━それじゃあ、ありがとうございました。
- 仲間・ありがとうございました!
平成25年9月 那覇市栄町市場内「生活の柄」にて